いつか記憶からこぼれ落ちるとしても

売れっ子エクーニの短編集です。私は彼女の著書をあまり読んでないんですが(「きらきらひかる」とかくらい)昨日の夜ふとこの短編集を手に取って読んでみたら結局止まらなくなってお風呂の中でずっと読んでました。エクーニの書く小説は表面、おだやかで、日常のふとした映像を正確に独特の目線で書いているので素敵なのですが私はちょっと物足りなくなるような気持ちもあります。この本は女子高生のふとした日常を描いた短編で、私が最も好きな時代のひとつである「少女期」がわんさか、というかそればっかり。
少女期って不思議。実はすごく短いし、少女はすぐに女になってしまう。だからこそこのちょっと浮遊したような、俗世から隔離されて培養されているようなこの時期ってすごく貴重で、その頃体験することってすごく敏感に経験として蓄積されるのだと思う。お父さんはそう思うよ。やっぱりちょっとふんわりし過ぎてもの足りない感じがするんだけど、でもたまにお風呂の中でゆったり読むにはいいなあと売れっ子エクーニには失礼な感じの感想を持った。